かくれ不眠の原因は「古い脳」の覚醒にアリ
「満足に睡眠がとれない」という人はじつに全国に3,000万人。そんな「かくれ不眠」の原因は「古い脳」の覚醒にありました。本人が自覚していない数秒から数十秒の古い脳の覚醒状態が、睡眠中に細切れにおこっていたのです。9月25日放送『ためしてガッテン』の「ふぁ~極上の熟睡感!グッスリ朝まで眠る術」で紹介されていました。
目次
不眠の人は古い脳が覚醒状態だった
不眠の人に共通するある特徴を世界で始めて明らかにした論文があります。発表したのは、アメリカのピッツバーグ大学のエリック・ノフジンガー博士です。博士は熟睡できない7人の脳を精密に検査。すると、本来は睡眠中は休んでいるはずの脳の一部が、異常な活動を示していたのです。
それは「古い脳の覚醒」ともいうべきもの。じつは、人間の脳には「古い脳」と「新しい脳」があります。進化の過程であとから獲得した新しい脳は「大脳新皮質」といいます。さらに内側、その奥にあるのが「古い脳」です。手に入れたのはまだ人間がサルになる前。鳥類や哺乳類でほぼ共通した構造の脳です。
そして、不眠の人は脳の大部分が休息しているにもかかわらず、古い脳が覚醒状態だったのです。この睡眠中に古い脳が覚醒している状態、いわば外的を警戒しながら眠るネコのようなもの。
不眠人は睡眠が異常に細切れの状態だった
「古い脳」というのは、いわば本能を司る脳といえます。たとえば外的の気配を感じたときに、逃げるか戦うかを直感的に判断しようとするもの。それが、必要もないのに覚醒しているわけです。
睡眠中の眠りの深さを見てみると、不眠の男性の場合は通常の人の睡眠と比べて、睡眠中に68回も「覚醒」状態がありました。しかもそのほとんどは、本人が自覚していない数秒から数十秒のもの。時間としては十分に眠っているのですが、それが異常に細切れの状態だったわけです。
「新しい脳」を獲得した霊長類には、深く眠らなければならない理由があります。深く眠ることで「脳の疲労の回復」と「神経細胞の修復」が必要だからです。このため、睡眠が細切れの場合、深い眠りがなく日中に脳が十分に働けなくなっているのです。
不眠の原因は睡眠ホルモンにある
ここで睡眠ホルモンの仕組みについて詳しく見てみましょう。水の出る「蛇口」と、それを受ける「ビーカー」を想定してください。このとき、蛇口が「脳」、ビーカーが「体」となります。
朝7時に太陽の光を浴びると、睡眠ホルモンを出すスイッチが入ります。すると、その14時間後の夜9時になると、蛇口から睡眠ホルモンが出始めます。そして、ビーカーにある程度の量が溜まってくると、ちゃんと眠りに付くことができるわけです。
ところが、夜になってお布団のなかで携帯やパソコンを見たりして、強い白い光を見てしまうと、蛇口から出る睡眠ホルモンの量が減ってしまいます。そうすると、ビーカーの睡眠ホルモンがなかなか必要な量に達しないために、不眠になるというわけです。
それでは、曇っていたり雪が降っていたりと、空が暗いときはどうしたらよいのでしょう? じつは曇りの日でも外に出れば1万ルクスくらいの明るさがあります。雨の日もそれくらいの明るさがあるのです。なので、曇や雨でも窓際に行って、外を見るようにすれば大丈夫です。
一方で、夜に強い光を見ないというのも難しいもの。生活のいたることころに強い光があふれています。一番簡単な方法は、サングラスをして過ごせばよいでしょう。もちろん、夜道は危ないですし、スマホの操作をすると目が悪くなるかもしれませんが…。
■9月11日放送『ためしてガッテン』
【ふぁ~極上の熟睡感!グッスリ朝まで眠る術】
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熟睡できない原因は「古い脳」の覚醒にアリ
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