動脈硬化を併発した「脳動脈瘤」が完治
脳の病「最後の砦」と呼ばれる脳外科医・上山博康先生は、年間にてがける手術はおよそ600件、これまでに25,000人以上の患者さんを救ってきました。その手術現場に密着したドキュメントをお送りします。8月19日放送『主治医が見つかる診療所』の「腸と脳を大特集!免疫力アップ&老化防止スペシャル」で紹介されていました。
目次
動脈瘤と動脈硬化を併発していた
1人めの患者さんは、宮城県に住む63歳の女性。2012年12月、頭痛がきっかけで受けた検査で脳の病気が見つかったのです。脳の血管画像を見ると、左目の奥にある血管に大きく膨らんでいる部分があります。「脳動脈瘤」です。
脳動脈瘤とは、脳の血管にできる風船のようなコブのこと。ひとたび破裂すればくも膜下出血を引き起こし、麻痺や言語障害、最悪の場合は死に至る恐ろしい病です。
動脈瘤の大きさはおよそ8mm。でこぼこした形状で破裂寸前の状態です。これだけ大きいと手術が難しくなるのに加え、今回の最大の問題点は「動脈硬化」にありました。動脈硬化がひどいと、非常に破裂のリスクが高いのです。すわなち、手術のリスクが高いということです。こうしたこともあり、この女性はほかの病院では治療困難といわれていました。
さらに問題は、この動脈瘤の近くに目を動かす神経である「動眼神経」があること。クリップをかけたり動かしたりすると、この動眼神経は非常に弱い神経であるために、一時的に麻痺が出る可能性があるのです。慎重に手術を行わなければなりません。
上山博康による手術は4時間で終了
手術は、側頭部を開頭して脳を分け入って動脈瘤に向かいます。動脈瘤が姿を現すと、その周りの部分が黄色く変色しています。これが動脈硬化をおこしている部分です。血管が固くなっているためクリップをかけることができません。
上山先生の指示で、助手の医師が首の血管・頚動脈を押さえました。こうすることで動脈瘤へ流れる血液の量を減らして、膨らみを抑えてクリップをかける隙間を作るのです。
こうしてできたわずかなスペースのおかげで、クリップがかかりました。しかし、動脈瘤はまだ膨らんでいます。周りが固くなりすぎているため、1つめのクリップだけでは血流が止まらないのです。2本目のクリップが準備され、1本目のクリップの隣にかけます。さらに3本目のクリップをかけて、血流を遮断しました。
こうして手術は4時間で終了。手術成功です。大きな後遺症もなく、手術から3週間後に無事に退院しました。
■8月19日放送『主治医が見つかる診療所』
【腸と脳を大特集!免疫力アップ&老化防止スペシャル】
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