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バイパス術で「脳動脈瘤」を完全切除する

脳の病「最後の砦」と呼ばれる脳外科医・上山博康先生の手術現場に密着したドキュメントの2例目を紹介します。8月19日放送『主治医が見つかる診療所』の「腸と脳を大特集!免疫力アップ&老化防止スペシャル」で紹介されていました。



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2人めの患者さんは神奈川県に住む42歳の女性。2012年2月に受けた脳ドックがきっかけで病気が見つかりました。検査の結果、女性の脳には動脈瘤が見つかったのです。大きさはおよそ5mmですが、動脈瘤のある場所は呼吸や循環など生命維持を司る「延髄」のごく近く。破裂すれば命を失い、手術をしても重篤な後遺症が残るリスクがあるのです。

手術してくれる医師を探して1年で3つの病院を回りましたが、見つかりません。そこで、執刀数1位の上山先生に最後の望みを託しました。

この女性の動脈瘤は、小脳へ行く一番大事な血管のちょうど真ん中にあります。しかも場所の難しさだけでなく、その形状も治療を困難にしていました。通常の脳動脈瘤は根元をクリップでとめますが、この女性の場合は根元がないタイプ。クリップを両脇にかけて血流を遮断してしまうと、脳に深刻なダメージを与えてしまいます。

そこで上山先生は、ある特殊な手術方法を考えていました。安全に動脈瘤を処置するために行うのは「バイパス術」です。頭皮の裏にある血流量が豊富な血管をはがし、それを動脈瘤の先にある血管につなげて小脳への血流を確保。そして、クリップをかけて破裂の危険を回避します。

まずは、頭皮の裏にある血管の採取から手術が始まります。血管の採取を終え、手術は動脈瘤へと向かいます。場所は延髄のごく近く、1mmのズレが重篤な後遺症につながりません。

探りながら進み、深さ6cmまで達したところに動脈瘤はありました。続いては、血流を確保するためのバイパス術に移ります。先ほど採取した頭皮の裏の血管を準備。バイパス術では血流を一時的にクリップで遮断、血管同士を縫合して血流を確保します。しかし、血液を止めていられる制限時間はおよそ20分。それを超えると、脳にダメージを与えてしまいます。

バイパス術が開始。髪の毛よりも細い糸を使って、太さ1mmほどの血管を1針1針縫い合わせていきます。繊細な作業です。時間に追われながらも、上山先生は正確に血管をつないでいきます。およそ15分でバイパスは完了しました。

次はクリップで、動脈瘤への血流を遮断します。まず1本目のクリップ。コブにつながる血管にクリップがかけられます。続いて2本目。動脈瘤をはさんで、反対側にかけられます。そして、コブを切り取っていくのです。手術は5時間で終了。動脈瘤は完全に取り除かれました。

■8月19日放送『主治医が見つかる診療所』
【腸と脳を大特集!免疫力アップ&老化防止スペシャル】

動脈硬化を併発した「脳動脈瘤」が完治
認知症が予防できる「ひらめきウォーキング」
老化を防ぐには「脳への新たな刺激」が肝心
考えながら手を動かすと脳の老化が止まる

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