胸の痛みの8割以上は心臓病が原因ではない
アメリカでのデータでは、胸の痛みを訴えて病院に来た人のうち、心臓病だった人はたったの2割以下。8割以上は、別の病気から胸の痛みがおきていたのです。それはどんな病気なのでしょう? そして、心臓が痛いにもかかわらずその場所を指でさせない痛みこそが重大な病気の恐れがあるのです。10月16日放送『ためしてガッテン』の「心臓が停止する!まさかの奇跡の生還SP」で紹介されていました。
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胸の痛みの原因は逆流性食道炎だった
神奈川県に住む54歳の女性は、50歳を過ぎたころからきつい胸の痛みに悩まされるようになっていました。グーッと締め付けられるような痛みに、心臓が原因かと思っていたといいます。内側からギューッとつかまれる感じで、まさに心臓病の痛みと同じようなものです。
半年前にはついに、息もできないほどの激痛がひんぱんに襲うようになります。たまらず病院に駆け込んで心臓の検査を受けたところ、心臓には異常なし。しかし、そこで医師からある薬を処方されました。すると、驚くほど症状が出なくなったのです。
この病気は「逆流性食道炎」、または「胃食道逆流症」。胃酸が食道に逆流してしまう病気です。胸の痛みで病院に来る人の多くは、この病気であるといいます。処方された薬は「胃薬」だったのです。
胸の痛みの多くは心臓病が原因でない
逆流性食道炎の場合、胃から酸が逆流すると食道がビックリします。そのとき、食道が収縮するのです。これが胸の痛みと感じてしまう原因。ギューッとつかまれるように心臓が痛いのは、ここから来るわけです。
逆流性食道炎のおもな症状としては胸焼けですが、胸痛が現れたときは狭心症や心筋梗塞の痛みとそっくり。病院に行けば治療法はしっかり確立されていますから、まずは診断を受けることが大切です。
このように「心臓が痛い」と感じる胸痛がおこる病気はさまざまあります。実際、胸の痛みの多くは、心臓病が原因でないことがほとんどです。とはいえ、心臓の痛みが危険な病気の症状であることもあります。胸の痛みの原因はどのように見分ければよいのでしょう?
心臓が痛いのに指でさせない病気とは
じつは、心臓が痛いときは「指でさせない」病気と「指でさせる」病気に大きく分けることができます。胸が痛いと訴えて病院に来て「ここが痛い」と指差す人は、そこの神経や筋肉の痛みでピリピリしたりなど鋭い痛みが特徴です。「肋間神経痛」や「筋肉痛」「帯状疱疹」などがそれにあたります。
一方の「心筋梗塞」「狭心症」「大動脈解離」「肺血栓塞栓症」などの重症な病気は、内臓の痛みであるためにどこと指さすことができません。「このへんが」「胸のあたりが」という説明になります。
つまり、心臓が痛いのにその場所を指でさせない痛みは重大な病気の恐れがあるということ。すぐに病院で診察を受けるようにするべきです。
心臓が痛いときに病気を判別する方法
心臓が痛いのに指でさせない病気のなかでも心筋梗塞と狭心症は、虚血性心臓疾患と呼ばれるもの。日本人の3大死因の1つです。そこで、胸の痛みに加えてどんな症状が出るかで病気を判別する方法を紹介します。
心筋梗塞は、原因不明の冷や汗が出たら要注意。救急医療の現場でも心筋梗塞の重要なサインとして、医師も判断材料に利用します。また、無痛性心筋梗塞という場合もあるので、いきなり冷や汗をかき始めたら要注意です。
狭心症は、痛みの出る範囲が胸とは限らず、上半身の左側全般におよびます。左半分の耳の穴からおへそまでに、ギューッとした感じの痛みを感じたら、狭心症の可能性を念頭に置いておくべきでしょう。
■10月16日放送『ためしてガッテン』
【心臓が停止する!まさかの奇跡の生還SP】
痛みを感じない心筋梗塞はこうして発症する
原因不明の冷や汗は無痛性心筋梗塞のサイン
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