認知症によって「幻視」が見えるメカニズム
アルツハイマーと間違われて患者や家族が苦しんできた「第二の認知症」は、じつは日本の医師が発見したものです。「レビー小体型認知症」が発見される経緯と、その特徴である幻視のメカニズムを解説します。10月2日放送『ためしてガッテン』の「気づいて!新型認知症 見分け方&対策大公開」で紹介されていました。
目次
レビー小体型認知症は海馬が小さくならない
この「第二の認知症」を発見したのが、横浜私立大学の名誉教授・小坂憲司さんです。いまから35年ほど前に発見しました。20代のころから認知症の治療をしながら、その脳に何がおきているかを研究し続けてきました。
「認知症」といえば、当時もいまも「アルツハイマー型」がほとんど。その特徴は、脳の中の記憶を司る「海馬」と呼ばれる部分が縮んでしまうことです。このために、記憶が徐々に失われてしまうのです。
しかし、診察を重ねていくうちに、小坂さんはまったく違うタイプの患者の存在に気がつきました。「物忘れが進んでいかない」「歩行がうまく行かない」「見えないものが見える」といった症状です。
そこで、患者の脳を詳しく調べてみたところ、驚きの発見がありました。アルツハイマー型では縮んでしまっていた記憶を司る「海馬」が、ほとんど小さくなっていなかったのです。
レビー小体は視覚情報を捉える場所にたまる
さらに詳しく調べていくと、脳の中に「レビー小体」があることを発見しました。これは、いわば不要なたんぱく質の塊で、いわばゴミのようなものだとか。パーキンソン病の原因物質として発見されていたもの。これが「第二の認知症」も引き起こしていることを小坂さんは発見したのです。
この認知症の正式名称は「レビー小体型認知症」。レビー小体は大脳全体に分布しますが、とくに後頭部と側頭部に多くたまります。後頭部は近く情報を捉える場所、そして側頭部はその視覚情報に意味づけを行うところです。
視覚情報とそれを意味づける場所に異常が発生しているため、見えていないものが見えるというわけ。ちょっとした刺激があると見間違う…ということが発生して、「幻視」がおきているのです。
■10月2日放送『ためしてガッテン』
【気づいて!新型認知症 見分け方&対策大公開】
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