全身の臓器を元気にするのは「骨」だった!?
人間の体を支えている「骨」ですが、じつは全身の臓器を元気にする大切な役割を果たしていることがわかったのです。3月5日放送『ためしてガッテン』の「30代で骨粗しょう症!?意外な真犯人&驚きの新薬」で紹介されていました。
「骨」の細胞といえば、古い骨を壊す「破骨細胞」と、新しい骨を作る「骨芽細胞」。どちらも骨の表面に存在し、骨の代謝に重要な役割を果たしています。そして今回、注目する「骨細胞」はその奥に存在するものです。
骨細胞には「全身の臓器を操る黒幕」という知られざる役割があることを解き明かしたのは、神戸大学と北海道大学の研究チームです。彼らが行った実験は、まず骨細胞だけが働かないようにする薬をマウスに注射します。実験に使ったのは若いマウス。人間でいえばまだ10代です。
すると3週間後、なんと歩くのもおぼつかないほどヨボヨボに…。調べてみると、餌をちゃんと食べているのに極端な栄養失調となっていたのです。筋肉も衰え、体温も維持できなくなっていました。
さらに、免疫力も低下。白血球の数が4分の1になっていました。リンパ腺が萎縮して、白血球が作られなくなっていたのです。働かなくしたのは骨細胞だけ。まるで老化現象のような状態が現れたのでした。
じつは、骨細胞は骨への衝撃や重力を感じ取ることで、骨の持ち主が体を動かしていることを感知します。そのとき、全身を元気にしようとするシグナルを送っているのでした。全身の臓器を活性化するタンパク質やイオンなどの物質を放出するのです。
そして「骨粗しょう症」とは、骨がスカスカになる病気。じつはスカスカになっている部分というのは、この骨細胞がいる大切な場所なのです。このため、骨粗しょう症になると「免疫力の低下」「赤血球の低下」「動脈硬化」など、さまざまな症状が発症。さらには「インスリンの低下」や「認知症」にまでつながります。
これまで骨粗しょう症は、骨がもろくなる「骨折」にばかり注目されてきました。そして、骨折で動けなくなることによって、二次的に老化が加速すると考えられてきたのです。しかし、実際は骨粗しょう症が直接的に、老化に関与していたということ。「老化で骨がスカスカになる」のではなく「骨がスカスカになったために老化する」のです。