夏は心房細動の血栓が危険!6時間で手足が壊死
ある日突然、心臓がけいれんする「心房細動」。推定患者数は130万人ですが、その4割は自覚がありません。しかし、心房細動による血栓は手足が壊死させたり、脳梗塞がおこすことも…。とくに夏が要注意なのだとか。心房細動を早期に発見する方法とその治療法を紹介しましょう。7月16日放送『ためしてガッテン』の「夏に!心臓けいれんがあなたを襲う」で取り上げられていました。
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最悪の場合は右手が壊死して切断する可能性
東京都内に住む70歳の女性は健康のため長年、水泳を続けてきました。スポーツが大好きで、病気をしたこともなかったといいます。
そんなある日、400mほど泳いだ女性は、右腕が重いことに気づきました。筋肉痛で腕が上がらないと思ったものの、手がしびれてものが持ちにくい状態。プールサイドでしばらく休み、様子を見ました。
すると30分くらいしてものを持つと、サッと持つことができたのです。ややしびれが残ったものの、一晩寝れば治ると考えて、そのまま就寝しました。
ところが翌朝、目を覚ますとまだ手のしびれがあります。そこで念のため、病院で診てもらうことにしたのです。すると、心臓のほうに原因があるという診断。最悪の場合、右手が壊死して切断する可能性があるというのです。
心房細胞の血栓が詰まってからの猶予は6時間
これこそが「心房細動」という病気。心臓の心房の部分が細動する、つまりけいれんするというものです。
この心房細動が恐ろしいのは、この細動によって大きな血栓が作られてしまうこと。心臓がけいれん状態になると、血液の流れが滞って血の塊ができてしまいます。そして、この血栓がある日突然、手や足に飛んで血管を詰まらせてしまうのです。
実際に心房細動で血栓ができている患者の心臓の映像を見てみると、直径3cmほどの血の塊が心房内の血液中を漂っているのがわかります。この血栓が血液の流れに乗って、心臓の外に飛び出してしまうのです。
血栓のとび先は手や足の壊死だけとは限りません。脳への血管に乗れば「脳梗塞」、腸へ向かう血管で詰まれば「腸管膜動脈閉塞」、腎臓へ向かう血管なら「腎梗塞」となります。血管が詰まると、その先の器官で壊死がおきるまでの猶予はおよそ「6時間」です。
夏は血液がドロドロで血栓ができやすい
心房細動のリスクを上げるのは「睡眠不足・過労・ストレス・過度の飲酒」です。これらによって、心房細動が頻繁におこるようになったり、細動の時間が長くなったりします。
また、心房細動によって血栓ができて壊死が危険というわけでもありません。とはいえ、脱水症状には気をつける必要があります。というのも、血液がドロドロになってしまうので、血栓ができやすい状態になるからです。その意味では、夏は心房細動の血栓による壊死にとくに注意が必要でしょう。
心房細動がおこりやすいのは副交感神経が活発な、夜から目覚める前にかけて。このため、朝起きたときと夜寝る前に脈を測って、脈拍が速くなっていないか、リズムや強弱が乱れていないかを確認してください。
まずは3日間、朝起きるときと夜寝る前に脈を確認。それで異常が見られなければ、血栓ができるような心房細動はないと考えてよいでしょう。胸がもやもやするなど違和感があるときも、脈を測ってみることが肝心です。とはいえ、年に一度は心電図検査を受けるようにするのが確実といえます。