好酸球が原因で難聴に!?危険な大人の中耳炎
放置しておくと聴力がゼロになってしまう、大人がかかる恐ろしい「中耳炎」があります。その病名は「好酸球性中耳炎」。とはいえ進行を止めることは可能なため、早期の発見が重要ですそのメカニズムと見分け方を見ていきましょう。7月9日放送『ためしてガッテン』の「その物忘れ・集中力低下 隠れ難聴かも!?」で紹介されていました。
目次
大人の難治性中耳炎の患者はぜんそく持ち
一般に中耳炎は原因がハッキリしており、ほとんど治すことができる病気とされています。ところが1990年代、医師の元にはどうやっても治らない難治性の中耳炎患者が続出したのです。
普通の抗菌薬でもすぐ再発するし、点耳薬も効果が出なかったとか。原因は何かと患者をリストアップすると、全員に共通する「あること」を発見。おかげで治療できるようになったのです。難治性の中耳炎の患者に共通することは「ぜんそく」持ちということでした。
なぜこのようなことがおきるのでしょうか? 私たちの血液の中には「好酸球」という白血球の仲間がいます。肺の中にウイルスが入ってくると、この好酸球がやっつけてくれるのです。
増えすぎた好酸球が中耳炎を引き起こす
ぜんそく患者の場合、この好酸球がものすごく増えてしまいます。増えてしまった好酸球は暴走して、敵もいないのにあちこちに攻撃を仕掛けてしまい、炎症をおこしてしまうのです。これが気管支でおこるのが、いわゆるぜんそくの症状です。
これが耳の中でも同じように発生するのが、この難治性の中耳炎。敵もいないのに攻撃をして、中耳炎を引き起こしているのです。
しかも、放置すると耳の中にポリープができて変形してしまいます。こうなると、外から入ってくる音の振動がうまく伝わらなかったり、耳の神経自体が破壊されてしまい、最悪の場合は聴力がゼロになってしまうのです。
ぜんそくがおきるのは気管支ですが、中耳や鼻も同様に気道の一部。好酸球が活性化されやすいのです。このため、ぜんそくと同じ症状が中耳でおきてしまいます。
「好酸球性中耳炎」が最近とくに増えている
じつは、この「好酸球性中耳炎」が最近とくに増えているとか。その背景には、ぜんそく患者も増えていることが関係しています。
以前はぜんそくに対して、全身的なステロイドによる治療が行われていました。それが最近では、吸入型の気管支だけに効くステロイドを使用するようになっています。このため、好酸球性中耳炎が増えているのです。
好酸球性中耳炎はなるべく進行しないように止めるしかありません。早期の治療開始で、聴力低下を防ぐようにしましょう。
成人で発症したぜんそくに加えて「耳が遠くなった」「耳垂れが出てくる」などの症状が現れたら、好酸球性中耳炎の可能性が大。耳鼻咽喉科でしっかりと診察してもらうことが大切です。
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