梨状筋ストレッチで下半身型冷え性は治る!
とくに30代以降、年齢とともにだんだん増えていくタイプの冷え性があります。それが「下半身型冷え性」。中高年になると増える「夏の冷え性」と呼ばれているものです。そして、この下半身型冷え性の原因となるのが「梨状筋」。硬くなった梨状筋をストレッチでやわらかくする、下半身型冷え性の治し方を紹介しましょう。7月22日放送『みんなの家庭の医学』の「夏の冷え性の新事実SP」で紹介されていました。
目次
中高年になると増える下半身型冷え性とは?
東京・白金にある北里大学東洋医学総合研究所の伊藤剛先生は、西洋医学と東洋医学の見地から冷え性を研究。これまで数多くの冷え性患者を救ってきました。そもそも冷え性にはタイプがあり、伊藤先生は5つに分類しています。
なかでも代表的なのが「四肢末端型」「内臓型」「下半身型」の3つ。手足の先が冷える四肢末端型、お腹を中心にして体の中が冷える内臓型、下半身が冷える下半身型。そして、この下半身型冷え性こそ、中高年になると増える「夏の冷え性」の正体です。
下半身型冷え性とは、下半身の血流が減ることで足の末端へ熱が運べなくなり、足の先から腰にかけて冷えてしまうタイプの冷え性です。下半身型冷え性になると、心臓から排出された温かい血液は下半身へと向かいます。
しかし、足の血液の流れが悪くなっているため、多くの温かい血液は上半身へ集まってきてしまうのです。すると、下半身は冷たいのに上半身ばかりが温かいという「冷えのぼせ」という状態に陥ります。
梨状筋が硬くなると坐骨神経を圧迫する
下半身型冷え性の大きなカギを握るのが「お尻」。お尻といっても表面部分ではなく、内部にある「お尻の筋肉」が問題なのです。
下半身型冷え性になるメカニズムには、じつは2段階あります。その1段階めが「お尻の筋肉が硬くなる」ことです。硬くなるのは大殿筋というお尻の大きな筋肉ではなく、そのなかにあるインナーマッスルである「梨状筋(りじょうきん)」なのでした。梨状筋は股関節を外側に回したり、固定したりする役割を果たしています。
通常であれば、梨状筋は軟らかいもの。これが肩こりのように、さまざまな原因で硬くなってしまうのです。それによって、坐骨神経に影響を与えます。この坐骨神経への影響が、下半身型冷え性の2段階めのメカニズムです。
硬くなった梨状筋は坐骨神経を刺激。この坐骨神経への刺激によって血管が収縮してしまうのです。坐骨神経には足の血管の太さを調節する機能があるため、硬くなった筋肉に挟まれて刺激を受けると、足の動脈が収縮してしまいます。その結果、温かい血液を足にうまく運ぶことができなくなり、足が冷えるようになってしまうのです。
梨状筋を若返らせる簡単ストレッチ法
それではなぜ、梨状筋は硬くなってしまうのでしょうか? その大きな原因が「老化」です。加齢や運動不足により、筋肉の疲労が回復しにくくなるため、いったん硬くなった筋肉が元に戻らず、慢性的に硬いままになってしまいます。この下半身型冷え性の特徴は、いま冷えがない人でも老化とともに発症する可能性があることです。
そこで、硬くなった梨状筋をやわらかく若返らせる簡単ストレッチ法を紹介しましょう。じつは、梨状筋には効果が期待できる3つのツボがあります。梨状筋の真ん中にある「臀中(でんちゅう)」、足の付け根に近い「環跳(かんちょう)」、そして梨状筋のすぐ脇にある「胞肓(ほうこう)」です。
これらのツボをじっくりていねいにほぐしてあげれば、梨状筋はやわらかさを取り戻して、下半身型冷え性が改善できます。ツボを見つけるポイントは、押したときの痛みです。梨状筋が硬くなっていると、その部分の血流が低下して痛みの原因となる物質が発生しています。つまり、押したときに痛みが出れば、その部分がまさにツボということです。
梨状筋ストレッチは坐骨神経痛にも効果アリ
この下半身型冷え性を改善する梨状筋ストレッチ法は、固くなった梨状筋が与える坐骨神経への影響を解消するものです。神経への刺激が血管の収縮を発生させるので、その刺激をなくすことで下半身冷え性を解消します。
ここで坐骨神経への刺激といえば、有名なのが「坐骨神経痛」。坐骨神経が圧迫されたり刺激を受けることで生じる痛みやしびれなどの症状のことです。
この坐骨神経痛の原因は、腰部脊柱管狭窄や腰椎椎間板ヘルニアといった脊椎の影響によるものと、下半身型冷え性と同じように固くなった梨状筋の影響によるものがあります。
つまり、この簡単ストレッチは坐骨神経痛の改善にも効果があるということ。冷え性だけでなく、下半身にしびれや痛みがあるときは、梨状筋ストレッチを試してみると効果があるかもしれません。
もっと手軽な梨状筋のストレッチ法
ツボなどを押さずに梨状筋をストレッチする方法もあります。仰向けになって足をひねることによって、梨状筋を伸ばすことができるのです。
仰向けになったら、片足を曲げてもう片方のひざの反対側に足裏をつきます。この状態から曲げた足をひねって、お尻の梨状筋をストレッチするのです。
曲げた足側の手は骨盤に置き、もう片方の手は右ひざに置いてください。それぞれの手で下向きに圧力をかけて足のひねりをサポートします。お尻の裏の筋肉が伸びていることを感じることができるはず。硬くなった梨状筋のやわらかさを取り戻すことができます。
梨状筋を伸ばすもう1つのストレッチ
もう1つ、梨状筋を自分でストレッチする方法を紹介しましょう。上記の方法よりもより梨状筋を伸ばすことができます。
まず両ひざを立ててあお向けてに横になったら、右足のくるぶしを左足のひざの上にに乗せます。ここで足を引き上げて、両手で左足のひざを持ってください。右手は右足で作った三角形の中を通っていく形です。
この状態から左ひざを自分のほうに引き付けると、右側の梨状筋がストレッチされます。お尻が浮かないように、腰を床に着けるようにするのがポイントです。
■「冷え性」おすすめ記事
腰痛や冷え性を改善する「お尻マッサージ」
ナゾの心臓病は冷え性と同じ原理?-ためしてガッテン
「内臓型冷え性」のカンタンな見分け方
EDや薄毛の原因にもなる「内臓型冷え性」とは?
末端冷え性は自律神経を鍛え直す「温冷浴」で治る
冷え症が治った!「温冷浴」実践マニュアル
■「ストレッチ」おすすめ記事
広背筋ストレッチで猫背の肩こりを解消する
「腸腰筋エクササイズ」でウエストがマイナス5cm
■「下半身」おすすめ記事
下半身のむくみは「40度の全身浴」で解消!
最新「下半身オチョ」でふくらはぎシェイプ