痛風の原因となる「尿酸」は本当は体にイイ物質
痛風の原因は尿酸という物質です。尿酸の血液中の濃度が何らかの原因で上昇して飽和濃度を越えると、尿酸は体の中に蓄積して結晶になるのです。尿酸の濃度が高い状態が続くと、この結晶が関節の内面に付着。痛風はこの結晶がはがれ落ちて、炎症をおこすことで発症するのです。しかし、その値が基準値以下であれば尿酸は体によい働きをするのをご存じですか?
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尿酸には体を守る「抗酸化作用」がある
そもそも尿酸はいったん腎臓でろ過されて老廃物となります。しかし、それを腎臓内で回収するという現象によって血液に取り込まれ、結果として尿酸値が上がることになっているのです。それでは、なぜ私たちの体は、痛風の原因となる老廃物の尿酸をわざわざ回収しているのでしょうか?
じつは、尿酸には「抗酸化作用」があるためです。アンチエイジングなどでよく耳にする抗酸化作用は、がんを防いでくれるなど私たちの体を守ってくれる大切な役割をはたします。
私たちの体には、老化や病気の原因にもなる活性酵素を消去する物質がいろいろ存在。なかでも尿酸は一番濃度が高くて、活性酵素を消去する重要な役割をはたしているのでした。
というのも、人間以外の多くの生物はビタミンCを体内で作ることが可能なのだとか。ところが、人間はビタミンCを作り出すことができないため、ビタミンCが果たしているその抗酸化作用を尿酸が担っています。痛風の原因となる尿酸ですが、本当は体にイイ物質だったのです。
基準値を超えると痛風の原因となってしまう
ということは、尿酸値は高いほうが、抗酸化作用がよく効くということでしょうか? ここで、尿酸値が高いラットと通常のラットで、血管の断面がどのように違うのかを見てみましょう。
すると、尿酸値を上げたラットは、血管の内側が分厚くなった状態でした。そして、血液が流れる部分が異常に細くなっています。これは尿酸値が高いと、血管の細胞が尿酸を多く取り込んでしまうことになる現象。細胞が刺激されて炎症をおこすなどして血管自体が分厚く変化してしまうのです。
つまり、尿酸値の基準値以下であれば尿酸は抗酸化作用の働きをしてくれる「よい作用」を及ぼしますが、基準値を超えてしまうと血管が動脈硬化に近い状態になる「悪い作用」を及ぼすというわけです。痛風の原因にもなります。尿酸値が高くなりすぎなければ、尿酸はとてもありがたい物質なのです。