物忘れの意外な原因!脳ではなく心臓に問題
なかなか名前が思い出せなかったり、同じことを何度も話してしまう…そんな「物忘れ」の多くは加齢などによる脳の萎縮によりおきていると考えられていました。しかし、近年の研究で物忘れの原因が脳ではなく「心臓」に隠されていることがわかってきました。心臓に原因がある物忘れがあるのです。
目次
物忘れの瞬間の心電図をチェックする
5月27日放送の『みんなの家庭の医学』では、物忘れがひどいという人の中に、心臓が原因の人がどれくらいいるのかを検証していました。今回は実験では、3人の私生活をカメラでチェック。同時に心電計によって心臓の拍動を記録することで、物忘れの原因が心臓であるかを検証します。
心臓は心房から心室へ血液を送り出して、心室から全身へ血液を送り出しています。この動きを心電図で見ると、心房から心室へ血液が送り込まれると小さな波を記録。心室から全身へ血液が送り出されるときは大きな波を、そして収縮した心室が元の大きさに戻るときに中くらいの波を記録するのです。
1分間に50~100回、定期的に拍動するのが正常な心臓のリズムです。もし物忘れが心臓由来なら、このリズムに変化が現れるというわけです。
3人のうち2人は、生活の中でいろいろ物忘れはするものの、心電図には大きな変化はなし。しかし、残りの1人の男性の場合は、お昼ご飯の調理を頼まれたことを忘れてしまったとき、振動の拍動が遅くなっていたのです。本人に確認しても、拍動が遅くなっていたときは記憶が曖昧だったと話します。
脳が酸素不足で一時的に記憶が抜け落ちる
心臓治療の第一人者である弘前大学大学院の准教授・佐々木真吾先生によると、この男性の場合は通常の健康な人と比べると、脈がとんだりする回数が多いとのこと。すなわち、心臓の正常なリズムが乱れる「不整脈」が出ているのです。
そして、この不整脈は心臓由来の物忘れを引き起こす「徐脈性不整脈」の予備軍であると指摘します。徐脈性不整脈とは本来、規則的に動かなくてはならない心臓のリズムが、何らかの原因で乱れて遅くなる病気です。知らずに放っておくと、命にかかわる場合もあります。
そもそも私たちの心臓は電気信号によって動いています。その電気信号を送って心臓の収縮リズムの調節を行っているのが「洞結節」といわれる器官。ところが、加齢などが原因でこの洞結節の働きが衰えると、電気信号が正常に発信されなくなり、心拍数が少なくなってしまうのです。
すると、心臓から十分な血液を送り出すことができません。その結果、脳が酸素不足となり、一時的に記憶が抜け落ちるという現象がおきるのです。これこそが、心臓が原因の物忘れの正体です。
物忘れの原因となる脈とびを発見する方法
5秒以上も拍動が止まる場合は、心臓に異常があって明らかに治療が必要です。しかし、一瞬心臓が止まる「脈とび」という現象は、ほぼ健康な人でも日常的におきています。じつは脈とびには「安心な脈とび」と「危険な脈とび」の2つのタイプがあるのです。
安心な脈とびは、規則正しく打っている脈が通常より早いタイミングで打つもの。そのリズムが乱れが回復するまで脈が飛んでしまいます。このような脈とびが1日に数回おきる程度であれば心配ありません。
それでは、危険な脈とびとはどういったものなのでしょうか? それは規則正しく打っている脈が突然、鼓動が止まって数秒間のあいだ脈が飛ぶというものです。この間隔が3秒以上続く場合、さまざまな症状が出てきます。
自分で脈を正しく測るなら指3本
危険な脈とびかを発見するには、自分で脈を測ることが一番です。左右どちらの手でもかまいませんが、手首を曲げるとしわができるはず。そのしわから体の中心のほうに1~2cm近い部分の、親指の延長線上に、人差し指と中指、薬指の3本で軽く押さえます。
これでしっかり脈のふれがわかるはずです。危険な脈とびがある場合は、これを最低1分間測れば見つかる可能性が高いでしょう。3秒以上の脈とびと物忘れの症状がある人は早めに病院で精密検査を受けることをオススメします。
■「物忘れ」おすすめ記事
放っておくと危険!名前が出てこない物忘れ
心臓が原因の「物忘れ」があることが判明!
認知症を予防!リスクを上げる習慣と下げる習慣
■「心臓」おすすめ記事
胸の痛みの8割以上は心臓病が原因ではない
咳が長く続くときは「心臓弁膜症」かも!?
ナゾの心臓病は「微小血管狭心症」-ためしてガッテン
原因不明の冷や汗は無痛性心筋梗塞のサイン
左上半身の痛みは「狭心症」の疑いアリ
■「不整脈」おすすめ記事
90%の人が知らないうちに心臓が一時停止!?
「危険な脈とび」を自分で見分ける方法とは