健康診断の心電図は「異常なし」でも危険!
健康診断の心電図では異常が見つからなかったにもかかわらず、じつは心臓に重大な病気を抱えていたという事例を紹介します。「狭心症」の事例です。8月12日放送『主治医の見つかる診療所』の「健康診断では見つからない心臓病の発見法」で紹介されていました。
目次
健康診断の7ヶ月後に狭心症を発症
東京都在住、48歳の会社員の男性は、妻と長女との3人暮らし。年に一度、毎年10月に健康診断を受けていました。2012年の健康診断では、血圧が「154/116」と「140/90以下」という基準値からやや高め。総コレステロールは「275」と、こちらも「101~250」の基準値をややオーバーしていましたが、いままで大きな病気を患ったことはありません。
そんな男性が突然、からだに異変を感じたのは健康診断の5ヵ月後。2013年の3月でした。仕事はデスクワークが中心なので仕事をしているときや家でくつろいでいるときはなにもありませんでしたが、早足で歩いたり階段を上ったりすると、息切れを感じるようになったのです。
100m走などで息が切れる症状が、早足で歩くとおきるイメージ。しかし、深呼吸を10回ほどすると症状が治まっていたためとくに気にせず、病院にも行きませんでした。
ところが異変を感じ始めてから2ヵ月後、症状がよくなるどころかむしろ悪化。普通に歩いてても症状が出てきたため、病院に診察に行きました。すると医師から「狭心症」という病名を告げられたのです。
心電図は異常なしでも危険な状態
狭心症とは、心臓そのものに血液を送る大切な血管・冠動脈が、動脈硬化などが原因で狭くなってしまい、心臓が動くために必要な血液が十分に送られず、心臓の機能が低下してしまう病気。これがさらに進行して血管がふさがってしまうと心筋梗塞などを発症し、最悪は「突然死」する可能性もあるのです。
これまで受けてきた健康診断の心電図検査では「所見なし」。とくに異常がなかったため、心臓が悪いとは考えもしませんでした。奥さんもふだんの生活ではまったく普通だっため、信じられなかったといいます。
しかし、男性の心臓はすでに驚くべき状態でした。一部の冠動脈は狭窄率100%、すなわち完全にふさがった状態。さらに、狭窄率90%以上の別の血管もあるなど、何箇所も異常があったために、いつ心臓が止まってもおかしくない非常に危険な状態だったのです。
結果としては緊急手術を行って一命は取り留めましたが、本人いわく、ここまで進行しているとは思っても見なかったとのことです。
心電図が異常ありの場合はどうなる?
健康診断の心電図で「異常なし」でもなぜ狭心症だったのでしょうか? 心電図検査は、心臓の働きに異常がないかを調べるもの。心臓の筋肉は全身に血液を送り出す収集を繰り返しています。そして、この収縮のたびに電流が発生するのです。
この電流を心電計で増幅して波形として描いたものが心電図になります。ちなみに、心電図検査でベッドに仰向けになって電極が付けられるのは、胸に6か所、両手首と両足首の4か所の計10か所です。
心電図で「異常あり」という場合は心臓の異常が疑われます。そんなときは、台の上り下り運動を行って体に負荷をかけ、そのあとに心電図をとる負荷心電図や、24時間モニタリングする検査などを行うのです。
心電図の異常なしは安心できない
このように健康診断の心電図検査は、平常時の心臓の鼓動のリズムや強さを波形で表すもの。おもに、心筋梗塞や心臓肥大などの疾患を発見することが目的です。
しかし通常、狭心症は体を動かしたときに息苦しさなどの症状が出ることが多い病気。息苦しさの発作をおこしている瞬間の心電図をとらないと発見できません。健康診断では発見されにくい病気なのです。
そもそも健康診断の「異常なし」は「この検査で異常は見つけることはできなかった…ということ。とくに、心電図やレントゲンなどはアナログな判断になってしまいます。正常という意味ではないため、安心できません。
■8月12日放送『主治医の見つかる診療所』
【健康診断では見つからない心臓病の発見法】
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