咳が長く続くときは「心臓弁膜症」かも!?
健康診断では異常がなかったのに、じつは心臓に重大な病気を抱えていたという事例です。咳が長く続くときは「心臓弁膜症」かもしれません。実際の事例を紹介しましょう。8月12日放送『主治医の見つかる診療所』の「健康診断では見つからない心臓病の発見法」で紹介されていました。
目次
咳が続くのは心臓弁膜症が原因だった
神奈川県在住の42歳の主婦は生まれてこのから大病を患ったことはなく、健康には自信を持っていました。毎年、健康診断を受けていて、指摘を受けたこともありません。
この女性の心臓に異常が見つかったのは3年前の8月。咳が止まらないという状態が2週間ほど続きました。しかし、一向に咳が治らないため病院に行ってみると、医師からは専門病院で診察を受けたほうがよいとのこと。すぐに専門医に駆け込んで診断されたのが「心臓弁膜症」です。
そもそも心臓には4つの弁があり、閉じたり開いたりすることで血液を一定方向へ流しています。しかし、この女性の場合は「僧帽弁」という弁が完全に閉じていて、心臓に入ってきていた血液が逆流していたのです。
心臓弁膜症の推定患者数は200万以上
この逆流状態では、心臓から全身へ流れる血液の量が減ってしまうため、心臓がより強い力で血液を流そうとします。その結果、心臓の負担が増え続けてダメージが蓄積。これが動悸や息切れの原因になったり、最悪の場合は突然死を引き起こす可能性もあるのです。
この女性は、心臓の止めて行う大手術を受けることになりました。ダメになってしまった僧帽弁を補修し、人工リングを使って血液の逆流を防いだのです。
この心臓弁膜症は近年増加傾向にあり、推定患者数は200万以上にものぼります。日本人の60人に1人が、ひそかにこの病気を抱えているともいわれています。しかし、心臓弁膜症も狭心症と同様、心電図検査では見つけることはできません。血液の流れを調べる「エコー検査」などを受けなければ、ほとんど発見されないのです。
心臓弁膜症の症状は咳が続くこと
症状の特徴のひとつが、おさまらない咳。心臓の弁を逆流した血液で肺がうっ血し、空気が入るスペースがどんどん減っていきます。その結果、咳込んだり、息苦しくなったりする症状が長く続くのです。さらに、体を横にすると肺のうっ血がよりひどくなるために、一段と呼吸がしにくくなります。
心臓弁膜症の早期発見法は「むくみ」です。ふだん誰もが感じるむくみですが、心臓弁膜症の場合は通常のむくみとは違う特徴があります。
むくみは心臓弁膜症の初期症状のひとつ。とはいえ、夕方の足のむくみや朝の顔のむくみは心配ありません。怖いのは、朝になっても一晩寝ても足がむくんでいたり、夕方になって1日たっても顔のむくみがひかない場合。それは心臓弁膜症の兆候かもしれません。
咳が続くときのそのほかの病気とは
咳が続く場合は「大人ぜん息」の疑いがあるかもしれません。ぜん息は小児ぜん息というイメージがありますが、大人になったから発症するぜん息があるのです。30~40代で突然発症することがほとんどであるため、ぜん息と診断されずにそのまま放置されることが多いといいます。
咳が続く原因が「副鼻腔気管支症候群」の可能性もあります。副鼻腔炎があると、睡眠中にのどに降りてきた鼻汁が気管支に入って、気管支炎の原因になるのです。
アトピー傾向のある人が、たんのからまない咳を1か月以上していたら「アトピー咳嗽(がいそう)」かもしれません。咳をする感度が亢進しすぎて、ちょっとした刺激でも咳き込むため、長い咳が続いてしまうのです。
なお、感染症で咳が長引くものには「百日咳」や「マイコプラズマ感染症」などもあります。結核菌による「結核」も咳が続くことが特徴です。
■8月12日放送『主治医の見つかる診療所』
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