話題の「ファンクショナルトレーニング」とは？
アスリート向けに行われていた「ファンクショナルトレーニング」を、一般向けの体作りに役立てようという動きが広がっています。フィットネスクラブで取り入れる例がだけでなく、医療機関も注目し始めました。ファンクショナルトレーニングとはいったいどんなものなのでしょう？
目次
ファンクショナルトレーニングの基本
ファンクショナルトレーニングは、直訳すると「機能的なトレーニング」となります。具体的には、関節や筋肉を効果的に使って目的に合わせた動きができる体作りを目指すトレーニングです。正しい身体の知識を理解し、何のために鍛えるのか目的意識を持つことが大切になります。
たとえば、同じアスリートでも種目が違えば動き方が違うもの。同じ筋肉でも鍛える目的が異なるため、トレーニングの仕方も変わるというわけです。
その前提になるのは、肩や股関節のように動くべき関節が広く柔軟に動くこと。そして、腰椎など固定すべき骨をきちんと固定するように周辺の筋肉を鍛えることです。やみくもに筋肉を鍛えても動くべき関節が動きにくくなるなど、かえって運動能力は低下することになりかねません。
目的と理由を明確にしたトレーニング
そこで大切になるのが、自分の体のどこがおかしいかのチェック。アスリートはトレーナーに点検してもらいますが、一般人が自分の立ち姿を鏡で確認するだけでも課題がいろいろ見えてくるものです。
たとえば正しい姿勢で立ったつもりでも、腕が体の真横にならず手の甲が正面から見えるようなケース。これは肩甲骨周りの筋肉が弱かったり背中の筋肉が硬かったりすることを意味するのです。肩甲骨の周りの筋肉が弱いと猫背になったり、肩がこったりしやすい傾向があります。
そこで、肩こりの解消や予防のためにうつぶせの姿勢から、肩甲骨を寄せて胸を開く運動をして肩甲骨を鍛える…となるわけです。何を目的にどのような理由でトレーニングするのかがわかれば、効果も実感しやすいでしょう。
一般的な腹筋運動はボディビルなどには適していますが、じつは運動を重視すると最適とはいえません。腹筋だけでなく股関節周りの筋肉まで合わせて鍛えるトレーニングがより適しています。
ファンクショナルトレーニング導入例
ファンクショナルトレーニングの考え方を健康管理に取り入れたのが、東京都中央区にある聖路加国際病院。人間ドックなど予防医療の拠点として開設した付属クリニックの聖路加メディローカスに、ファンクショナルトレーニングを導入しました。
これまでの人間ドックでは検査結果に基づいて「運動の必要がある」と指導することはあっても、具体的にどんな理由で何のトレーニングをするかまで踏み込んだ提案はありませんでした。そこにファンクショナルトレーニングのチェックを加え、体の状態や機能に合わせた運動を提案するわけです。
ファンクショナルトレーニングの目的には、動きを鍛えることで機能を向上するだけでなく、障害がおこるのを防ぐことも含まれます。高齢化が進むにつれて足腰の機能の衰えによる転倒などがおこりやすくなるもの。機能を考えたトレーニングをすることで転倒予防だけでなく、転んでもけがをしにくいなど障害を防ぐ効果もあるわけです。
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