ストレスが免疫力を下げるメカニズム
体内に侵入した細菌やウイルスを撃退したり、がん細胞が増殖したりしないよう守る仕組みである「免疫力」にとって、最大の敵は「ストレス」です。アトピー性皮膚炎やがんが、ストレスによって発症したり悪化したりするのはご存じのとおりです。
目次
ストレスが解消すると免疫力が回復
ある実験では、卒業試験を控えた医学部生を対象に、試験の最中と試験の2週間後で「ナチュラルキラー細胞(NK)細胞」の活性を調べました。NK細胞は、ウイルスに感染した細胞やがん細胞を攻撃する、免疫力をつかさどる白血球を構成する「リンパ球」です。
その結果、試験中はほとんどの学生が通常の時期に比べてNK細胞の活性が低下。そして、ほとんどの学生は試験の2週間後にはNK細胞の活性が上昇していたのです。このように、卒業試験というストレスが免疫力を低下させ、そのストレスが解消することで免疫力が回復するという結果となりました。
加えて、試験の2週間後に試験中よりもさらにNK細胞の活性が低下した学生がいました。じつは試験に失敗してしまった学生。このように、ストレスが持続すると、免疫力も低下し続けることになるのです。
ストレスでNK細胞の活性が低下
ストレスで免疫力が低下するメカニズムは「自律神経」のバランスにあります。自律神経は、無意識的に1日の中でバランスを取りながら体調を整えてくれる神経システムです。自律神経には「交感神経」と「副交感神経」があり、この2つが互いに制御しあってバランスを保っています。
人間関係や仕事の悩みなど精神的なストレスを抱えると、交感神経が優位な状態が続くようになります。このとき、おもに「顆粒球」と「リンパ球」で構成される白血球が大きな影響を受けるのです。
交感神経が高まると筋肉や血管は緊張して固くなり、血流が異常になります。その結果、白血球の「顆粒球」が増えて「リンパ球」が減ります。逆に、副交感神経が優位になるとと「リンパ球」が増えすぎるという現象がおきます。これがストレスによってNK細胞の活性が低下する仕組みです。
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