コカインよりイイ!?恋愛で分泌する快楽物質
生物界を見渡したとき、「恋愛」は人間独特のものといえます。このため、恋愛はいわば高レベルな感情だと考えられていました。しかし、実際には非常に「原始的な脳」の部分で行われていることがわかったのです。2月12日放送『最新脳科学ミステリー“人間とはなんだ…!?”』で紹介されていました。
人間の脳には「新しい脳」と「古い脳」の2種類があります。「大脳辺緑系」とも呼ばれる古い脳は、動物的本能を司るもの。これらの働きで体温調節や呼吸、脈拍、血圧などが意識することなくコントロールされています。
一方の「大脳新皮質」と呼ばれる新しい脳は、思考・判断・記憶などを司るもの。人間がほかの動物と大きく違うのは、この脳の進化があるからだといわれています。
実験では、恋をして幸せいっぱいの男女の脳をスキャンし、好きな人の写真を見たときに脳がどのように活動するのかを計測。すると、のどの渇きや空腹などを感じるときに活性化する、脳の「腹側被蓋野(ふくそくひがいや」」といわれる部分が強く反応していたのです。
このとき活性化していた腹側被蓋野は、衝動や欲望を司る原始的な脳の部分。「爬虫類脳」とも呼ばれる古い脳の一部がとくに強く反応していました。恋愛は感情ではなく、抑えきれない脳の衝動。つまり、人間は本能的に恋愛しているのです。
そして恋に落ちると、強く反応した腹側被蓋野からは快楽の元になる「ドーパミン」が分泌。これが脳内を駆け巡り、恋するエネルギーになっているのです。ドーパミンは天然の興奮剤。これが集中力や高揚感、やる気をおこさせ、恋のパワーを作るのです。
じつはこの腹側被蓋野は、コカインを摂取したときに反応する場所と同じ。麻薬を摂取すると同じ部分が反応して、快楽物質であるドーパミンを分泌しているのです。そして恋愛の快楽は、コカイン以上だともいわれています。
だから人は、激しい恋に落ちると、快楽に溺れてしまうことがあるのです。「恋は盲目」ともいわれる恋愛の正体は、古い脳が生み出す動物的な本能だったのでした。