高速道路の無料区間が全国各地で増えている理由
郊外の高速道路を走っていると、ときどき「ここから無料区間」という看板を見かけることがあります。看板に嘘はなく、高速道路の無料区間は料金を取られずタダで走ることができ、結構おトクな気分になります。なぜこのような高速道路の無料区間があるかというと、15年前に行われた道路民営化が大きく関係しているのです。
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高速道路の無料区間は全額税金で建設
いまや全国各地に拡がる高速道路の無料区間。その多くは「新直轄方式」と呼ばれる方法で建設されたものです。新直轄方式では、建設費用は国と都道府県で負担していて、NEXCO3社をはじめとする高速道路会社の負担はゼロ。管理も、国土交通省が行っています。
このような仕組みができた理由は、2005年に特殊法人だった日本道路公団をNEXCO3社へ分割・民営化したことに関係しています。NEXCO3社は国が100%出資する特殊会社ですが、「民間会社」という建前上、日本道路公団時代のように通行料金で採算がとれない高速道路を作り続けることができません。
そこで、NEXCO3社が建設を諦めた高速道路もしっかり作れるように考えられたのが新直轄方式なのです。また、新直轄方式とは別に国・都道府県の負担で一般国道扱いの高速道路が作られることもあり、こちらも通行料金は無料です。
高速道路の無料区間の制限速度の設定
高速道路の無料区間では、当然ながらICに料金所がなく自由に出入りすることができます。そして、125cc以下の自動二輪車と小型特殊自動車が走行できないのも高速道路と同じです。SA・PAについてはICの外側に作られることが多く、実質「道の駅」扱いになります。
高速道路の無料区間と東名高速などの幹線高速道路と違うのは、建設コストを抑えるため道路の規格が幹線高速道路と比べ低くなっていることです。そのため、高速道路の無料区間は制限速度が70~80kmに設定されることが一般的です。
ドライバーにとってはありがたい高速道路の無料区間でが、一方で有料区間と無料区間が混じる路線では、無料区間だけ利用して通行料金を節約するドライバーが多くなってしまいます。そこで、結果的に有料区間があまり利用されないという問題も各地で起きています。
高速道路の無料区間と有料区間で渋滞
例えば東九州道の場合、佐伯ICより北側と延岡南ICより南側については有料区間で、その間は無料区間。さらに、延岡南IC~門川ICまでの区間は「延岡南道路」として別料金となり、大型トレーラーなどが対象の「特大車」については普通車の3倍以上となっています。
そのため、大型トレーラーなどが延岡南IC~門川ICで一般道に迂回してしまい利用台数が伸び悩んでいました。さらに、この区間の一般道・国道10号線は片側1車線しかないため、宮崎県内有数の渋滞スポットにもなっているのです。
NEXCO西日本はこうした事情を受けて、2020年3月30日から延岡南道路でETC限定割引を実施することになりました。新料金では特大車が950円から360円に、大型車が420円から280円と大幅値下げに。また、同区間で一般道へ迂回した場合も、中型車以上は延岡南道路の料金がかかる仕組みになります。