NHKの略称は1945年までは「BCJ」と呼ばれていた
「NHK」が日本放送協会の略称で、日本語読みしたローマ字の頭文字をつなげたものであるのはご存じのとおりです。ところが、民放テレビ局を見ていくとNHKのようにローマ字読みを使うところはなく、「NTV」「CX」のように英語名称の略称やコールサインが使われています。なぜNHKの略称だけローマ字読みなのでしょう。
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NHKの略称が最初に使われたのは1946年
日本放送協会が「NHK」という略称を使いはじめたのは、1946年3月4日からのこと。当時は、ラジオ番組『英語会話』がスタートしたばかりで、日本中に英語学習熱が高まっていた時期にあたります。
にもかかわらず、日本放送協会が採用した略称は、英語ではなくローマ字読み「Nippon・Housou・Kyoukai」の頭文字を取ったNHKでした。これ以降、NHKの略称は現在まで使われ続け、NHKの定款にもそのことが盛り込まれているのです。
一方、のちに続々と開局した民放テレビ局の略称は、日本テレビが「NTV」、大阪テレビ(現ABCテレビ)が「OTV」、日本教育テレビ(現テレビ朝日)が「NET」といった具合に英語が使われています。
NHKの略称は「BCJ」とする案もあった
現在でも、民放テレビ局の略称は英語の頭文字を取ったものが大半で、それ以外のケースでもフジテレビの「CX」のようにコールサイン(JOCX)の一部を使っています。ローマ字読みを採用するのはNHKの略称のみです。
では、なぜNHKだけが日本語読みを採用したのでしょうか? NHKが発行した『放送五十年史』によると、日本の占領統治が始まった当初、米軍関係者は日本放送協会のことを「BCJ」と呼んでいたとのこと。これは「the Broadcasting Center of Japan」の頭文字から取られた略称でした。
ところが、日本放送協会の略称を決めるとなった際に、米軍内で放送を担当していた部門・CIEから「NHK」の略称が提案され、BCJを推す意見があったもののの、結局NHKが採用されることになったのです。