WOWOWスクランブル解除にB-CASカード番号なぜ必要？
NHK受信料を除けば基本的に無料視聴できる地デジ放送に対し、BS放送にはWOWOWを始めとする有料チャンネルが数多く放送中です。有料チャンネルは、未契約の状態でチャンネルを合わせても放送内容は表示されない、いわゆるスクランブルがかかった状態になります。それでは、有料チャンネルのスクランブル解除はどのような仕組みで行われるのでしょうか？
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BS放送はスクランブル解除にB-CAS必要
BS放送では、B-CAS・ACASといった視聴者を制限するための仕組みが導入され、テレビを含むすべての受信機器はこれに対応しなければなりません。ちなみにB-CAS・ACASの「CAS」は、「Conditional Access System（限定受信システム）」の略称です。
アナログ放送と異なり、デジタル化後のBS放送では、B-CASやACASのID番号がないとスクランブル解除できません。というのも、現在のBS放送の信号は暗号化されており、無料番組もB-CASやACASを利用してスクランブル解除しています。
ただし、無料番組と有料番組ではスクランブル解除の方法が異なります。無料番組の場合、実はスクランブル解除にB-CASやACASのID番号は必要なく、放送と一緒に送られてくる鍵「コンテンツ鍵」「スクランブル鍵」の2種類を利用してスクランブル解除します。ただし、鍵の使用にB-CASカードやACASチップが使われるため、これらがない状態ではスクランブル解除できないのです。
一方、WOWOWなどの有料番組については、契約情報をB-CASやACASのID番号と紐付けする仕組み。契約後に視聴に利用するテレビなどをそのチャンネルにあわせ、「ワーク鍵」と呼ばれる鍵が送信されてくるのを待ちます。ワーク鍵自体も暗号化されており、この暗号を解くために利用するのがB-CASカードやACASチップに保存されている「マスター鍵」です。
WOWOWをスクランブル解除する仕組み
ワーク鍵は契約者ごとに異なり、有料チャンネルでは24時間大量のワーク鍵を送信し続けています。このうち、視聴者側が持つマスター鍵で解読できるものは1種類だけで、その鍵が放送電波で送信されるまで待つ必要があります。有料チャンネルを契約してもすぐ視聴できないのは、この待ち時間のためなのです。
ワーク鍵を入手すると、その情報がB-CASカードやACASチップに保存されます。さらに、実際の番組のスクランブル解除には「スクランブル鍵」が必要です。無料番組のスクランブル鍵はコンテンツ鍵で自由に解読できるのに対し、有料チャンネルでは有効なワーク鍵が保存されたB-CASカードやACASチップのみスクランブル解除が可能です。
その後、スクランブル鍵を利用して暗号化された番組内容をスクランブル解除することで、実際に番組を視聴できるようになります。なお、有効なワーク鍵を持たないテレビなどに対しては「契約のお願い」などのメッセージを表示します。
さらに、ワーク鍵については複数チャンネルをひとまとめにすることも可能で、4チャンネル一括契約のWOWOWなどはこの仕組みを利用。なお、B-CASやACASにはPPVに対応する仕組みも用意されているものの、現在のところBS放送でPPVは実施されていません。
