B-CASカード廃止?最近の4Kテレビから消えた理由
BS放送のデジタル化から4年後の2004年から、テレビなどへB-CASカードを差さないと放送画面が映らない仕組みになりました。ところが、最近家電量販店で展示されている4K・8Kチューナー内蔵のテレビを見ると、B-CASカードを差す場所がありません。はたして、B-CASカードは廃止されてしまったのでしょうか。
目次
B-CASカード廃止でテレビが映らない
B-CASカードは、元々BSデジタル放送用に開発された受信や録画・コピー回数を制限する「B-CAS方式」を利用するためのカードです。B-CASのBはBS、CASはConditional Access System(限定利用方式)の略ですが、現在はBS放送だけでなく地上波デジタル放送(地デジ)や110°CS放送でも活用されています。
B-CAS方式を利用すると、WOWOWやスターチャンネルなどのBS有料放送やスカパー!CSの有料放送を、放送局側が契約者限定で受信可能に設定できます。この管理は、テレビに挿入したB-CASカード番号で行われ、WOWOWなどに新規加入する際にB-CASカード番号が必要なのはこの仕組みのためです。
とはいえ、有料のBS・CS放送を視聴している人は少数派のため、B-CAS方式においては地デジや無料放送への録画・コピー制限の方が重要といえます。そして、NHK受信契約を結ばずにNHKのBS放送を見ると画面に大きく現れるメッセージも、B-CAS方式で表示・非表示をコントロールしているのです。
新品時にB-CASカードが同梱されていたテレビの場合、B-CASカードを差さない状態ではテレビ放送自体がまったく映らなくなります。ところが、最近発売された4Kチューナー内蔵テレビには、そもそもB-CASカードが同梱されてなく、テレビをアンテナに接続して電源を入れれば無料放送が視聴できます。
B-CASカードは廃止でなく新方式に移行
実は、4K・8K放送には受信や録画・コピー回数の制限にB-CAS方式ではなく「ACAS」という方式が採用されていて、4Kチューナーを内蔵した機器にはACAS方式対応のチップが内蔵されているのです。これは、B-CAS方式がすでに解析されてしまい、不正改造したカードの流通が止まらないため、新たな方式が必要となったためです。
実際、有料のBS・CS放送が全チャンネル受信できるB-CASカードは現在も裏で流通し続けていて、その使用が発覚して逮捕された例も。昨年7月には、国土交通省の職員がB-CASカードの不正使用で逮捕されるという事件も発生しています。
テレビなどに内蔵されるACASチップには、ACAS方式のほかB-CAS方式にも対応しており、4K・8K放送だけでなく従来の地デジ・BS・110°CS放送もACASチップがあれば受信可能です。なお、ACASチップはメイン基板とは別に取り付ける仕組みになっていますが、これはテレビなどの製造メーカーから要望を受けてのものでした。
ACAS方式の開発途上では、ACASチップはメイン基板に載せてしまう構想がありましたが、この方法ではACASチップが故障した場合にメイン基板を全交換することになり、修理コストが大幅にアップしてしまいます。そこで、ACASチップ部分を外付けにすることにし、故障時の修理コストが抑えられる仕組みとなったのです。