「NHK集金人」収納業務なしでそう呼ばれる理由
NHK受信契約を新たに結ばせようと街を巡る「NHK集金人」は「深夜に訪れる」「NHK受信契約の結ばせ方が強引だ」といった不満もあちこちで上がるなど、あまり評判のよい職種とはいえません。しかし、NHK受信契約の取り付けを行うだけでの人が、なぜNHK契約人ではなく「NHK集金人」と呼ばれているのでしょう。
目次
NHK集金人で直接契約はごくわずか
NHKと受信契約を結んでいない家庭を回り、新規受信契約を取り付ける業務は、NHK内部で「契約・収納業務」と呼ばれています。契約・収納業務は現在ほとんどが外部会社への委託となっており、NHKが直接個人と契約する、または関連会社のNHK営業サービスが行う割合は20%以下です。
契約・収納業務で街を巡る職員は、NHKの直接契約か外部委託会社のスタッフかにかかわらず、ひとくくりに「NHK集金人」と呼ばれることが一般的です。しかし、彼らの仕事は主にNHK受信契約を各家庭に結ばせることで、各家庭からNHK受信料を直接集金することはサブ業務となっています。
これにはNHK側の事情も関係していて、NHK集金人が直接現金で受信料を受け取った場合、送金業務が発生して手間がかかるためです。最近では、NHK集金人はクレジットカードや銀行振り込みに対応した端末を持ち歩くケースも増えており、こちらの決済を勧められることも多くなっています。
かつてはNHK集金人へ受信料を手渡し
なぜNHK受信料の集金を行わないスタッフが「NHK集金人」と呼ばれるかといえば、かつてはNHK受信料の集金がメインの仕事だったためです。NHKの受信料制度が始まったのはNHKが特殊会社となった1950年からですが、当時はNHK受信料はNHK職員が直接各家庭をめぐり集金していました。
当時、NHK受信料を支払う方法としては、NHK集金人へ渡すほかに銀行振込や郵便振替が存在。しかし、大半の人がNHK集金人へ手渡しでNHK受信料を支払っていたため、NHKは多数の集金人を直接雇っていたのです。また、NHK職員だけで対応できない地域では、郵便局員にNHK受信料の集金を委託していました。
1984年にNHK受信料の支払い方法に銀行口座などからの自動口座振替が加わり、口座振替料金も新設。口座振替では、金融機関に支払う手数料の方がNHK集金人による集金コストより安く、1984年当時は口座振替の方が月50円割安な設定でした。
その後、NHK受信料の支払い方法にはクレジットカードやデビットカード、さらにはQRコード決済も加わり、現在では契約・収納業務スタッフが直接集金する機会は減っています。とはいえ、まったくNHK受信料の集金をしないわけではないため「NHK集金人」の名称が残り続けているのでした。