深視力の差がトップ選手と控えの違いだった
かつて中田英寿選手はピッチ上にいながらにして敵・味方を俯瞰的に把握していたといいます。これは「深視力」という能力がすぐれていたからです。サッカーにおける深視力の意味と、その測定方法、そして深視力を鍛える方法について詳しく見ていきましょう。10月25日放送『FOOT×BRAIN』の「サッカーで大切なのは眼だ!」で紹介されていました。
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深視力の差がトップと控えの違い
サッカーにおいて大事な目の能力が「深視力」です。深視力とは複数のものの距離感を認識する能力。距離感のベースとなるものです。
サッカーで距離感はたいへん重要になります。たとえばキラーパスの原点は距離感。広いピッチで入り乱れる敵・味方の距離を把握し、空いているスペースを早く使うことができる能力です。この距離感がつかめていないと、パスミスをして即失点につながることもあります。
Jリーガー48名のスポーツビジョンの成績を調べたところ、トップ選手とサブ選手で大きく違っていたのが深視力でした。動体視力などと比べて、深視力がトップと控えの選手のあいだでもっとも大きな差があったのです。
深視力にすぐれていた中田英寿
実際、まだイタリアに渡る前の中田英寿選手の深視力の成績もずば抜けてよかったとか。そのときに、どのようにピッチを見ているかと聞くと、ちょうどテレビ映像のように俯瞰図のようにわかるといっていたといいます。
深視力にすぐれた中田選手は、ピッチ上にいる敵・味方の選手をスタンドから見ているかのように瞬時に把握できたのです。
フォワードの選手は受けることが多いため深視力が特別に必要なわけではありませんが、やはりパスを出す側になるミッドフィルダーにはこの重要な能力。元Jリーガーの三浦淳寛さんもピッチを俯瞰的に見る感覚を持っていたといいます。
深視力は子どものときに鍛える
深視力の測定は、箱の中の3本の棒のうちの真ん中の棒のみが前後に動く装置を使います。3本の棒がヨコ一直線に並んだと思った場所でスイッチを押して、実物との誤差で測定するのです。
深視力はサッカーだけに必要な能力というわけではありません。深視力が低いと、運転中に対向車との距離感がわからずにぶつかってしまう危険性もあります。
ただし深視力を鍛えるのは難しいのが現実。子どものときに鍛えないと、あとで得られない能力です。子どものときに外で、遠くのものや近くのものなど距離の変化があるものを見ることが大事。鬼ごっこでやボール蹴りなど、いろいろな眼の使い方をすることで自然と深視力は鍛えられます。