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ハチミツによる皮膚の傷の再生メカニズム

ハチミツは、擦り傷の治癒やスキンケアのために、世界各国で伝統的に利用されています。そこで、イタリアの東ピエモンテ大学の研究グループは、ハチミツによる創傷治癒のメカニズムと、ハチミツの種類によって効果やメカニズムに違いがあるのかを明らかにしました。



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ハチミツによる皮膚の傷の再生メカニズム


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ハチミツが再上皮化に与える影響を調査

研究グループが注目したのは、創傷部位の「再上皮化」。「再上皮化」とは、傷に面した体の表面の細胞である「上皮細胞」が移動して傷をふさぎ、元の状態へ戻そうとする過程のことです。

そして、再上皮化でとくに重要なのは、上皮細胞が「上皮間葉転換」を経て、その性質を変えること。上皮細胞は本来、細胞同士の結合などによって固定されているため、自由に動き回ることができません。そこで「上皮間葉転換」をおこすことで、傷をふさぐために移動できるようになるのです。

研究グループは、ハチミツが創傷部位の「再上皮化」にどのような影響を与えるのかを調べるため、シート状に培養したヒト皮膚細胞に針状のチップを用いて引っかき傷をつけ「蜂蜜を添加しない状態」と「アカシア蜂蜜/ソバ蜂蜜/マヌカ蜂蜜を0.1%の濃度になるようにそれぞれ添加した状態」で24時間培養。また、陽性対象として強力な創傷治癒促進剤である血小板溶解液を20%の濃度で添加しました。


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ハチミツの種類で再上皮化が異なる

そして、傷をつけた直後と培養後の傷の幅から再上皮化率を算出。試験の結果、すべてのハチミツが無添加の状態よりも著しく高い再上皮化率を示したのです。

さらに、より詳細なメカニズムを解析するため、再上皮化に関わるタンパク質や遺伝子の変化を調査。すると、再上皮化率の結果とは異なり、ハチミツの種類によって違いが見られました。

とくにアカシア蜂蜜とソバ蜂蜜が、上皮間葉転換を制御するさまざまな遺伝子の発現を著しく変化させたのに対して、マヌカ蜂蜜では顕著な変化がほとんど認められませんでした。この違いは、蜜源植物由来の成分の違いに起因するものと考えられます。

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