寿命を操作できる「長寿遺伝子」が解明された!
国立遺伝学研究所は「長寿遺伝子」とも呼ばれる「サーチュイン遺伝子」の働きを解明。遺伝子操作した酵母で、寿命を自由に操作することに成功しました。
寿命を延ばす働きをするとされる「サーチュイン遺伝子(SIR2)」はその活性化により生物の寿命が延びるとされています。しかし、詳しい作用メカニズムが明らかになっていませんでした。
今回は、その決定的な発見といえるもの。サーチュイン遺伝子には、ある遺伝子の数を一定に保つという作用があり、それがゲノムの安定性へ通じ、確かに寿命を延ばすことにつながっていたのです。そしてこれこそが、長生き効果における唯一の反応経路であることを実証しました。
ある遺伝子とは「リボソームRNA遺伝子」です。この遺伝子は、ゲノム中にたくさんのコピーが含まれていますが、そのコピー数が変動しやすい不安定な性質を持っています。サーチュイン遺伝子が寿命を延長する効果を発揮するには、このリボソームRNA遺伝子のコピー数の維持であることを発見したのです。
実験では「リボソームRNA遺伝子」のコピー数を制御することにより、酵母菌の寿命を自由に操作することに成功しました。今後は、この「リボソームRNA遺伝子」のコピー数の維持が、老化や寿命の制御にどのように具体的にかかわっているか、さらに突き止めていくことが望まれています。それによって、ヒトの老化機構の解明や、健康寿命の延長につながっていくでしょう。