骨粗しょう症の治療薬が半年に一度でOKに
国内患者が1千万人以上いる「骨粗しょう症」は、最近では治療薬の選択肢も広がっています。最近は骨折を抑える効果が高く、患者の負担が小さい新薬も登場しています。
いまの主力は、骨を吸収してしまう「破骨細胞」にくっついて、吸収を抑える薬「ビスフォスフォネート」です。この中でも「リセドロン酸」という薬剤は、背骨のほか太もも、手首、腕の付け根などさまざまな骨折に効果があります。これまで1日1回か週1回、飲む必要がありましたが、月1回だけ飲めばいいタイプが2月に発売されました。
6月には、より効果が期待できる新薬「プラリア」が発売。破骨細胞ができるのに必要な特定の物質にくっつき、骨の吸収を抑える働きがあるものです。しかも、半年に一度、医療機関で皮下注射すればよいだけ。専門家は「従来の薬と違い、成分が血中を巡って全身に広がる。ビスフォスフォネートより骨の吸収を強く抑え、とくに太ももの付け根の骨折を防ぐ効果が期待できる」といいます。
国内での臨床試験をとりまとめた国立国際医療研究センターによると、背骨の骨折は偽薬を使った人に比べて60~70%抑えることができたとか。欧米では、太ももの付け根の骨折を40~60%抑えるとの結果が出ています。重い副作用は報告されていませんが、血中のカルシウム濃度が下がる低カルシウム血症がまれに見られます。この場合、ビタミンDとカルシウムの補充が必要になります。
「飲み薬は、飲み忘れる人もいる。半年に一度なら通院を忘れなければ治療を継続できる。効果や副作用に注意を払いながら、生活環境にあわせた薬の選択が可能になる」と専門家はコメントしています。