どっちが正論？「糖質制限vsカロリー制限」
炭水化物の主成分である「糖質」の摂取を減らす「糖質制限食」について、その効能の是非を巡る論争が続いています。ダイエットや血糖値の管理に生かす動きがある一方で、糖尿病患者に対しては安全性に問題があるとする見方も根強いのが現状です。
目次
米糖尿病学会も糖質制限食を容認
血糖値が高くなったときの食事療法は「カロリー制限食」が主流です。ただし、カロリーを計算する手間と空腹感が残るため、長く続けにくい課題がありました。
「糖質制限食」の基本は、1日の糖質量を130g以下に抑えること。1食あたり20～40gです。ご飯なら茶わんに半分弱ほどが約20gに相当し、食事としてはおかずが多めになります。
糖質制限食は当初、特殊なダイエットとして否定的に受け止められていました。しかし、海外で大規模な追跡調査が積み重ねられ、2年程度の短期間なら体重の減少や血糖値の上昇を抑える効果が徐々に認められています。2011年の英糖尿病学会に続き、2013年に米糖尿病学会も糖質制限食を部分的に容認する見解を表明しました。
糖尿病患者は慎重な管理が不可欠
これに対して、日本糖尿病学会は従来の考えを貫いたまま。糖質を減らしてもカロリー摂取が増えれば効果に疑問が残るうえ、長期的な効果と安全性に科学的な根拠がない点を問題視しているからです。
糖質の不足は、筋肉のたんぱく質を糖に作り替える反応がおきて、筋肉が細くなっていく心配も…。とくに高齢者の場合、寝たきりやほかの病気を引き起こすリスクが高まります。国民全体の炭水化物の摂取量は頭打ちにもかかわらず、糖尿病患者数が増えていることから、糖質だけを悪者にするのはおかしいという意見もあるのです。
健康な人がダイエットで糖質制限食を試す点に支障はないが、糖尿病患者の場合には慎重な管理が欠かせません。ある民間病院で、糖尿病患者に糖質制限食を始めるとともにインスリン注射を中断したところ、急激なインスリン不足で体調を崩し大学病院に緊急搬送される事態も発生しています。
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