喉の違和感が痙攣性発声障害に…その治療法とは
私たちの声は喉の奥にある声帯が細かく震えることで発せられています。この声帯が何らかの理由で強く閉じすぎてしまうのが「痙攣性発声障害」。声を出そうとしても詰まったり震えたりしてしまうのです。何気ない喉の違和感が痙攣性発声障害となってしまった症例を見るとともに、その治療法を紹介しましょう。5月27日放送の『みんなの家庭の医学』で紹介されていました。
目次
普通の声は出るのに声が張り上げられない
この痙攣性発声障害のはっきりとした原因はわかっていませんが、接客業など声を出す職業の人に発症率が高いといわれています。離婚を経験して2人の子どもを育てている46歳の看護師は「痙攣性発声障害」に悩んでいます。すべての始まりは些細な喉の違和感からでした。
入院病棟の看護師をしていたこの女性は人としゃべるのが大好きで、太陽のように明るい女性と患者さんに親しまれていました。それがいまから3年前のこと、季節の変わりめに風邪をひいて喉の違和感を感じます。そして、ほどなくして声がかすれてしまいました。
喉から来る軽い風邪と思ったこの女性は、さっそくかかりつけのクリニックへ。その2日後、早めの処置が効いたのかすっかり元気に。かすれた声も治っていました。
しかし、あるとき大きな声を出そうとしてもなぜか声が張り上げられません。普通の声はすんなり出ます。度重なる喉の違和感に多少の不安は感じたものの、声の異変は風邪が原因と考え、時間がたてば治ると思っていました。
風邪が治っても喉の違和感が続いていた
そして、ほどなく風邪がぶり返します。すると、今度はまったく声が出ないのです。仕方なく、苦肉の策で筆談で仕事。風邪を治すことに専念します。しかし、風邪が治っても喉の違和感は続いていました。それは血圧を測定しようとしたときのこと、なぜかわかりませんが数字がいいづらいのです。
そこで、今度は声の病気を専門に扱う音声外来を受診することに…。その結果、声帯には異常は見つからず、発声の仕方が悪いという診断。トレーニングすれば声が出るようになるというのです。
自分の声を取り戻したい一心でひたすらトレーニングに励んだ女性でしたが、改善の兆しすら見えないどころか、声を出そうとすればするほど声が出なくなるばかりです。なんとしても原因を突き止めようとインターネットで検索。「痙攣性発声障害」という非常に症状が似た病名を見つけたのです。
術後の安静のために1週間ほど声を出せない
女性はさっそく手術を受けます。まずはマーキング呼ばれる作業。軟骨や声帯を確認しながら、切開する位置をペンで記します。続いて局所麻酔。筋肉に到達すると声が変わってしまうため、表面の皮膚だけに浅く注射します。
麻酔が効いてきたら、慎重に軟骨を目指して切開を開始。メスを入れてから10分、いよいよ軟骨が現れました。骨の硬さを確認しながら切開できるポイントをしっかりマーキング。そして、数種類のメスを使い分けて硬い部分を切っていくと、ようやく軟骨を切り広げることに成功しました。
ここからが声の調律。スプレッターという器具を使って、切り開いた軟骨の幅をミリ単位で調節していくのです。局所麻酔で意識のある女性に、声を出すように指示。まずは2.5mm幅に広げて声の調子を確認します。続いて3mm幅で調整。高い声がスムーズに出るようになってきました。
最終的には3mm幅を選択。軟骨のあいだにチタン製の器具を固定して、声帯が開いた上体をキープします。開始から50分、手術は無事に終了しました。このあと女性は、術後の安静のために1週間ほど声を出せません。
喉の違和感から痙攣性発声障害を発症したこの女性は現在、さらにスムーズに話せるよう、日々練習に励んでいます。
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