男性不妊の4割は医療保険がきく「精索静脈瘤」
カップルの10組に1組は不妊症で悩んでいるとか。しかも、その半分は男性側にも原因があるといいます。それでは、男性不妊の治療はどのように行われるのでしょうか?
男性不妊の診察ではまず精液検査で、精子の濃度や数、運動率などに異常がないかを調べます。専門医は「9割の患者は精子を作る機能に問題がある造精機能障害だ。原因不明が多いが、男性不妊外来に来る人の3~4割は精索静脈瘤とのデータがある」といいます。
この精索静脈瘤は、一般男性の1割に見られるもの。日常生活に支障はなく、気付かない人がほとんどです。手術は顕微鏡を使って、おなかの下の静脈だけを縛る方法が主流。手術には公的医療保険が使えます。
もともと術後3ヶ月ほどで、精子の濃度や運動率が改善することは知られていました。最近は、妊娠率の向上にもつながると報告されるようになっています。年齢が比較的高い夫婦でも、顕微授精の成功率を上げるため男性側の手術をすることもあります。
原因がはっきりしない男性不妊でも、精巣から直接、精子を取り出す手術をすれば、顕微授精で子どもを授かれる可能性があります。しかし、こうした手術ができる病院は限られるのが現状。日本生殖医学会によると、生殖医療の専門医は4月現在、産婦人科医が全国で486人いますが、男性不妊をみる泌尿器科医は45人です。
日本生殖医学会のサイトでは、男性不妊の専門医がいる医療機関と治療内容を調べることができます。